アイロンの基本

◆アイロンの形
 アイロンの底の形は世界共通です。アールの付いた三角形をしています。先端が尖っているのは、細かい部分を仕上げやすくするためと、滑らせやすくするためです。二辺のアールは、衣服のエッジ部分の仕上げ機能的にすることと、デザイン的な面からです。
アイロンは、先端が鋭角的なものがお勧めです。

◆アイロンの重さ
 アイロンは重いほど本格的、仕上がりが良いと思われています。実は重いアイロンでは能率は上がりません。アイロンは衣服にあった熱量、水分、重量の総合作用です。重いアイロンと軽いアイロンを使い比べると、軽いアイロンの方が使いやすく、アタリも出ないなど良い面がたくさんあります。
 

◆アイロンの種類
 スチームアイロンとドライアイロンがあります。一般にはスチームアイロンで共用していますが、出刃包丁で刺し身を切るようなもので、無理があります。できれば揃えたいものです。
スチームアイロンは、スチームがパワフルなものがお勧めです。

◆アイロンのスチーム孔
 アイロンのスチーム孔は、2種類あります。一つは、底面全体にスチーム孔が開けられたものです。スチームが底面全体から出ます。もう一つは、先端三分の一にスチーム孔が開けられ、残りの三分の二にはありません。先端のスチームで衣服にスチームを行き渡らせ、残り部分で湿気を乾燥させながら仕上げるためです。
アイロンは、先端三分の一にスチーム孔の開いたものがお勧めです。

 クールダウンは刃物の焼き入れと同様、乾熱アイロン後の衣服から瞬時に熱気を取り払い、しっかり固定するテクニックです。
家庭でのアイロン掛けが上手にできないのは、このテクニックが欠けているからです。
このクールダウンは単に冷ませば良いのではなく、いかに早く冷ますかです。部分を掛け終る毎に、上下に7~8センチ振って余熱を冷まし、次の動作に移ります。夏は、扇風機を使うという方法もあります。部分を掛け終る毎に、扇風機で冷まします。フーッと息を吹きかけるだけでも効果があります。
クールダウンは、素早さが勝負です。

 アイロンの熱源には、スチームによるものとアイロンソール(底)からのものがあります。アイロンソール(底)からの熱を、スチームからの熱と区別して乾熱と言います。
 この乾熱は、アイロン仕上げに大きな役割を果たします。乾熱は、衣服に残ったスチームの湿気を飛ばします。
 アイロンを掛けて時間が経つと型崩れが起こるのは、スチームの湿気が衣服に残っているからです。
 ズボンの折り目が長持ちしないのは、スチームの湿気が残っているからです。
 アイロン効果を長持ちさせるコツは、スチーム質をドライにすること、乾熱アイロンで完全に乾燥させることです。
乾熱による乾燥が、アイロン仕上げの決め手です。

 綿や麻など植物性繊維で作られた衣服は、体重を乗せてアイロンを掛けるという常識があります。本当でしょうか。柔らかいアイロン台を使えば、軽いアイロンで力まず楽に、アタリもなしに掛けられます。
 毛や絹など動物性繊維のデリケートな素材でできた衣服は、アイロンソール(底)を直接触れさせてスチームを当てたり、押さえたりすると、アタリやテカリが付きます。風合いも変わります。
 浮かせアイロンというテクニックがあります。
 浮かせアイロンとは、衣服からアイロンを少し離して掛ける方法です。浮かせるといっても何センチ離すのではなく、アイロンを心持ち持ち上げ気味、アイロンと衣服の間にティッシュを半分に分けたものを1枚挟んだ程度の感覚です。
 この当たるか当らないかの微妙な感覚が大事です。浮かせアイロンは、衣服にアタリやテカリを付けません。風合いを損なうこともありません。
 

◆スチームの質を選ぶ
 スチームの役割は、湿気と熱を素早く衣服に与えて成形しやすい状態にすることです。スチームの量を多くするよりも、スチームの質をドライにします。
 スチームの質をドライにとは、水分の少ないスチームにするという意味です。アイロンは、スチーム性能の良否が仕上がりを左右します。
 ところで、いま使っているスチームアイロンのスチーム質をドライにする方法があります。綿100%の当て布1枚で、スチーム質をドライにすることができます。
 本来当て布は、アイロンソール(底)の温度を下げるためと、テカリを防ぐために使いますが、綿100%の当て布がスチームの水分を吸収して、スチーム質がドライに変わります。
当て布は、日本手拭いが大きさ、熱さ、使いやすさで最も適しています。タオルでは代替できません。

 

 湿気はもちろんのこと、30度の余熱が衣服に残っていても、シワや型崩れの原因になります。Yシャツのアイロンがけでよくおこることですが、かけ終わってすぐに動かすとシワができます。余熱が原因です。

 仕上げにスチームアイロンでスチームをかける方がいますが、かけすぎると衣服に残った湿気でアイロン前の状態に戻ってしまいます。ダラーッとなります。
 ズボンの折り目がすぐに消えてしまうのも、スチームの湿気が残っているからです。乾熱アイロン(スチームを止めた状態)で湿気を飛ばし、クールダウンをします。

 アイロンにはいくつかの基本テクニックがあります。覚えてしまえばYシャツ、背広上下、セーター、絹のネクタイやブラウスも難なくこなせます。縮んだ衣服を元の寸法に戻す、風合いを蘇らせる、ツヤを回復させることも可能です。
 弘法は筆を選ばずといいますが、使いづらいアイロンやアイロン台ではベテランでも良い結果が出ません。軽くて蒸気の強いスチームアイロン、軽くて先のとがったドライアイロン、広くて柔らかいアイロン台、この三つは揃えたいものです。
 アイロン台はYシャツが広げられるゆったりサイズで蒸気や熱気が下に抜けやすいものがお勧めです。クッション性も大事です。余計な力がかからず疲れません。
 これらの条件を満たしたアイロン台が、簡単に手作りできます。ウールの毛布を四つに折り、綿の布でくるめばでき上がりです。
 自宅でクリーニング本舗では達人のぱりっとアイロン台をお勧めしています。
 他に、日本手拭い、手直し用アイロン手袋、袖棒、霧吹きなどを準備します。

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